
薪ストーブは、主暖房器具として古くから世界中で使用されています。現代ではエアコンはもちろん、石油ストーブなど様々な暖房器具が存在します。しかし、これらは電気や石油の燃料が必要です。
最近では、災害時でも燃料調達し易い事や、ライフスタイルに合わせた楽しみ方ができる事から、薪ストーブの魅力が見直されています。
設置はできないにしても、電気や石油を燃料としない「暖」を考えることは、暮らしのあり方や地球環境について考えることになるかもしれません。
体も心も暖まる癒し効果

薪ストーブの暖かさは、ひだまりや春のぬくもりに似ています。その秘密は、薪ストーブ本体から放出する遠赤外線の「輻射熱(ふくしゃねつ)」が人や周囲のものを芯から暖めてくれるのです。
他にも、炎のゆらぎ、木が燃える音や香りなどを五感で感じる事で、心が和み温まります。薪ストーブの前に集い体を寄せ合えば、家族や大切な人と心を寄せ合うことができるでしょう。
人は太古の昔から火と親しんできました。火に安らぎや癒しを感じられるのは、遠い記憶が呼び戻されるせいかもしれません。
薪はECOな循環型エネルギー

薪ストーブに使う薪は、燃やせば二酸化炭素を発生します。しかし、薪を燃やして発生する二酸化炭素は、樹木が生長する段階で空気中から取り込んだ二酸化炭素。つまり、もともと空気中にあった二酸化炭素です。そして、薪を燃やすことで発生した二酸化炭素は、樹木が生長する際にまた吸収されていきます。もともとあった二酸化炭素を人間と木の間で循環させているのですから、地球上の二酸化炭素濃度は変わりません。このような二酸化炭素の循環は「カーボンニュートラル」と呼ばれ、数億年前から変わることなく今も続いています。
一方、石油などの化石燃料は、地下に閉じ込められた過去の燃料を「今」燃やしているので、その分、地球上の二酸化炭素量を増加させてしまいます。薪ストーブの普及率が高い欧米では、2000年以降、車などの排出ガスと同様に薪ストーブから出る煙の規制も始まりました。そのため、環境に配慮した薪ストーブが増えて来ています。環境にやさしい暖房器具として、今後ますます存在価値を増していくことでしょう。
災害時にも安心

天災でライフラインが切断され一般の暖房器具が使えなくなった時でも、薪ストーブがある家庭では、暖を取ったり、炎の灯りを楽しむゆとりがあったと言います。
もちろん、地震の後は煙突などの点検が必要ですが、手軽に調達できる薪をエネルギーとして使える事は大きな強みですね。
もしもの時も暖を取ることができ、お湯が沸き、煮炊きできるという安心感は、計り知れないものがあるでしょう。